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肛門潰瘍の改善状況
入退所受け入れ基準状況
リスク移行表
いちいの杜認知症専門棟
グループケアへの取り組み
在宅復帰率
生活動作の改善度(ADL)
 →(3ケ月後の変化)
退所者に係る入所前の場所
及び退所後の行方




【ケース1】
■夫と二人暮らしE氏(76歳・女性)の場合
 ご主人と2人きりで仲良く、元気に生活されていたEさんでしたが、外出先で転んで頭をぶつけてT病院へ入院することになってしまいました。幸い脳には大きな異常が無く、主治医から退院の話が出ましたが、入院してから、体力がなくなり、物忘れなど認知症の症状が現れるようになりました。退院しても、体が不自由で、物忘れ・妄想などが見られ、ご主人と2人だけの生活に不安を感じ、T病院のケースワーカーに今後の生活について相談をしました。ケースワーカーは、持病である肺病に加え、高齢であるため、夫婦2人きりの生活が難しいと判断し、ご主人と相談の上、介護保険を申請することにしました。
 判定の結果、要介護度3の結果がでました。Eさんの肺病の状態は安定しているものの、歩くことが不安定で、再び転んでしまう危険性が高いため、在宅復帰を目的にしたリハビリを専門に行っている介護老人保健施設いちいの杜への入所をケースワーカーから勧められました。リハビリを行い、日常の動作を安定して出来るようになってから在宅生活に戻ることにより、ご主人の介護負担を軽減し、安全に在宅生活が営めると考えたからです。
 ケースワーカーから紹介を受けたご主人は介護老人保健施設いちいの杜に電話し、いちいの杜の相談員と面談の予約を入れました。相談員との面談後、書類入所申込書診断書-1診断書-2の3通を記入し、提出しました。施設での判定会議の結果、入所(参照:入所までの流れ)が認められ、入所となりました。
(いちいの杜では、一人ひとりの、計画書(施設ケア計画書・リハ計画書・栄養ケア計画書)を作成し、ご利用者様の生活を見守り・支えます。この一週間の生活予定(モデルケース)を図解しました。)
 施設に入所した当初は、多動多弁で一日中落ち着かず、転んでしまう危険性が高く、目が離せない状態が続きました。このため家族の同意の下、夜間はセンサーマットを使用し見守りました。昼間は、まだ立ち上がることが不安定なのに独りで、立ち上がってしまうため職員が、頻回に傍らで言葉を掛けて、見守りました。
 Eさんが上手く歩けない原因は、体力の低下だけでなく、後に重心をかけて立ち上がるクセがあったため、後ろに倒れやすいことにありました。
 そこでリハビリ訓練では、立つ時に前に体重を移動すること、下半身のストレッチと、筋力トレーニングを中心に行いました。訓練時以外の、施設内での生活を行うときも、リハビリスタッフの指導の下、歩行器を使用した歩行訓練を実施、徐々に慣れてきてからは、手引き歩行を実施しました(作業療法・理学療法の内容説明)。リハビリの甲斐あり、短距離なら歩けるようになり、それと共に笑顔が戻り、精神的にも落ち着きを取り戻しました。
 また施設でのアクティビティサービスや行事も積極的に参加され、介助員・ご利用者さんに自ら話しかける様になりました。
 遠方に住んでいた息子さんも、当初は夫婦二人きりの生活には反対でしたがEさんの面会に訪れるうち、二人の生活を支えることに理解をしてくれるようになりました。いちいの杜の相談員に「在宅生活に戻るにはどうしたらいいのか」と相談をしたところ(広報)、 在宅での生活が可能かどうか、何度か試験的に外泊を行い、実際に問題がないか調べることになりました。
 その結果、自宅でも、なんとか生活出来る自信がつきました。また退所判定会議でも、退所の許可が出たため、相談員と在宅生活に向けての具体的な準備と相談をいたしました。
 退所の予定が決まると、リハビリ職員が、在宅までの一ヶ月の間、杖で歩く練習などの、実用的なリハビリプログラムを開始。他の職員も、退所にあたっての精神的なストレスを和らげられるように心がけました。
 退所後の介護サービスを受けるため、居宅ケアマネージャーと契約をしました。また、いちいの杜の理学療法士が自宅を訪問し、Eさんの生活に住宅改修が必要かどうか、どの部分が必要かを評価して、これを参考に住宅改修が行われました。
 さらに、居宅ケアマネージャーとご家族の相談で、リハビリは続けたほうが良いと考え、いちいの杜のデイケアサービスを週2回、利用することになりました。
 退所後のかかりつけ医は、長期入所したため、Eさんの状態をよくわかっている主治医を希望して、金光クリニックに変えました。体調を崩したときに往診したり、訪問看護ステーションを併設している診療所であるため、安心して在宅生活を営めます。
退所後も、家族の介護疲れの緩和にショートステイ(短期入所)も利用し、家族にも無理な負担が掛からないようにしました。
 現在Eさんは、遠方の息子さん、ご主人、デイケアサービス、ショートステイ、(参照:ショートステイの料金-1介護予防ショートステイの料金-2)主治医に支えられ在宅生活を送っています。元気に介助職員や他の利用者さんに声を掛けて、杖を使わず歩いています。時折ふらつきヒヤッとさせる場面もありますが安定しています。

【ケース2】
■長女と同居T氏(87歳・女性)
 Tさんは長女一家と同居していましたが、平成16年頃より物忘れ・物取られ妄想などの痴呆症状が見られ始め、介護認定を受けました。その後、骨折して一時的に入院することがありましたが、施設への入退所を繰り返しながら長女と同居生活を続けていました。しかし平成19年1月に食べ物をむせこんで、誤嚥してしまい肺炎を起こしたため入院となりました。食べ物を飲み込むことがうまく出来なくなっており、誤嚥による肺炎を繰り返す可能性が高いため、胃瘻(いろう)を造ることになりました。退院時、要介護4という状態で、すぐに長女との同居生活を行うことが難しかったため、いちいの杜に入所することになりました。
 Tさんは長期の入院生活で、足の力が弱くなり、車椅子を使わなければ移動できなくなっていました。食事は、おやつの時にプリンやゼリーを口から食べるくらいで、胃瘻から栄養剤を投与していました。家族は、入院前のように自分で立って歩けるようになってほしい、胃瘻からではなく、口から食事を食べられるようになってほしいと希望していました。施設の入所期間は原則として3ヶ月以内と決められているため、出来るだけ家族が介護しやすく、安心して生活できるようにという計画がたてられました。
 入所して2日目の朝食時、Tさんは胃瘻から栄養剤を流していたのですが、隣で食事をしていた方の大根の煮物と豆腐に手を伸ばして口にしてしまいました。むせこんだり誤嚥したりしないかと心配しましたが、上手に飲み込むことが出来たのです。医師を中心にリハビリ職員、管理栄養士、看護師、介護士、相談員と相談した結果、病院からの情報よりも嚥下が上手に出来るのであれば、予定より早く、口から食事を摂るリハビリを行うことを考えました。再び誤嚥して肺炎を起こしてしまう危険性もありましたが、家族もこれに同意して、計画書(施設ケア計画書・リハ計画書・栄養ケア計画書)が作成されました。
 始めは胃瘻からの食事と併用しながら、飲み込みやすい物を口から食べるように介助し、飲み込みの状態を確認しながら、口から食べる量を増やしていきました。食事の内容も、流動食から徐々に普通の食事に近いものになっていきました。一ヵ月後には、胃瘻から栄養剤を流さなくても、口から充分食べられるようになりました。胃瘻をふさいでしまうことも可能だったのですが、今後体調が悪くなり、口から食事が出来なくなることも考え、胃瘻はそのまま残しました。長女は胃瘻の扱い方を看護師から習いました。
 リハビリでは平行棒に掴まって立ち上がることや、介助すれば短距離を自力で歩けるようになりなりました。Tさんは認知症の為、介助者に抵抗することがありましたが、これも徐々に少なくなってきました。
長女も同居生活をおくる自信がつき、退所して在宅での生活を考えていきたいという相談を相談員にして、具体的な話し合いをすることになりました。
1.在宅サービス
 Tさんの自宅はいちいの杜からは遠いため、近くのサービスを利用したいという家族の意向から、今まで援助していた居宅ケアマネージャーと再契約をしました。いちいの杜の相談員は担当の居宅ケアマネージャーにTさんの入所中の経過や現状を報告しました。居宅ケアマネージャーも施設に訪問してTさんと面会をして、スムーズに連携がとられました。以前利用していたTさんの自宅近くのデイケア事業所は、胃瘻の受け入れは難しいとのことでしたが、口から食事が食べられるようになったので、利用できるようになりました。入浴サービスやリハビリは通いなれたデイケア事業所を週2回利用することになりました。
2.生活導線の確認
 Tさんの自宅は特に住宅改修などをしていない為、段差があり車椅子も屋内に入る余裕がありませんでした。しかしTさんは介助すればトイレまでくらいであれば、歩くことができるようになっていたので、住宅改修はしないことにしました。外出のときだけに使う車椅子はレンタルすることにしました。
Tさんは5月の連休明けに無事退所することができました。予定していた3ヶ月の入所期間より1ヶ月も早い退所です。この成果は、家族の協力とTさんに元気になってもらいたいという願い、リハビリや経口訓練に対する施設全体の取り組みによるものです。退所して2ヵ月になりますが、週2回のデイケアを利用しながら元気に過ごして、食事も美味しそうに3食とも口から食べています。長女は、今後介護疲れを感じたときはショートステイなどでいちいの杜を利用していきたいと考えています。
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